循環器科・呼吸器科担当獣医師、概要、医療機器、症例のご紹介

循環器科・呼吸器科

担当獣医師

循環器科・呼吸器科のご紹介

循環器科・呼吸器科では主に心臓疾患や肺・気管疾患の診断・治療を実施しています。
近年の伴侶動物の高齢化に伴い、心臓病の有病率は年々増えてきています。心臓病は徐々に進行していく為、早期発見・早期治療が非常に重要です。レントゲン検査・超音波検査などの画像診断やバイオマーカーと呼ばれる血液中の成分を調べる検査を組み合わせる事により進行度を評価し、治療の開始時期を決めていきます。気管疾患でも、咳が重度になるにつれてますます咳が出やすくなってしまう為、しっかりと咳を止めてあげることが重要です。呼吸が苦しそうだったり咳を頻繁にするなどの症状がある場合は、早めにご相談ください。

よくある症状

  • 疲れやすくなった気がする
  • ふらついたり、失神したりする
  • 咳が出る
  • 呼吸が早い
  • 舌の色が紫色になる
  • ぐったりしている

等々、その他どのような症状でも気軽にお尋ねください。

循環器科・呼吸器科で使用する医療機器の紹介

レントゲン

心臓や肺・気管に異常がないかを見ることが出来ます。心臓の大きさは薬を始める時期を決める重要な要素なので、定期的に確認することが重要です。

エコー検査

心臓の弁や筋肉の動きをリアルタイムで評価することが出来ます。実際に動いている状態を評価できるのはエコー検査の大きなメリットです。また肺に水が溜まる肺水腫なども瞬時に判断し、対応することが可能です。

CT

レントゲンでは評価しきれない胸腔内の状態などを把握することができます。血管の奇形なども見つけることができます。

動物用非観血血圧計

血圧計心臓疾患や腎臓疾患によって起こる高血圧を見つけます。ショック状態の時の低血圧なども評価することが可能です。

心電図

主に不整脈を評価するとき使用します。異常を疑うときには、ホルター心電図という72時間連続記録を行う機器をレンタルして使用しています。

ICU

呼吸状態が悪い患者さん達には、酸素濃度の高いICU管理室を使用することで呼吸を楽にできるようにします。呼吸が苦しい状態では過剰な興奮により、さらに低酸素になってしまいますが、酸素濃度を高めることで落ち着くことが出来ます。

症例紹介

動脈管開存症(PDA)

先天性の心臓病で大動脈と肺動脈をつなぐ動脈管が出生後も残ってしまい異常な血行動態がみられる疾患です。
病状が進むと発咳、運動不耐性、分離チアノーゼを起こします。レントゲン検査、超音波検査などで診断し、内科治療で状態を安定させた後手術を実施します。
手術にはコイル塞栓術と動脈管結紮の2種類があります。

フィラリア症

犬糸状虫(フィラリア)が寄生することによっておこります。感染が重度になると発咳、運動不耐性、呼吸困難、腹水の貯留がみられます。
血液検査やレントゲン検査、超音波検査によって診断し、治療します。治療には手術で犬糸状虫を摘出する方法、内科療法がありますが、最も重要なのは感染しないように投薬または注射で予防することです。

僧帽弁閉鎖不全症

心臓内の僧帽弁の閉鎖がうまくできなくなる病気で、老齢の小型犬に多く発生(心疾患の75-85%)します。
症状は発咳、運動不耐性がみられ進行すると左心不全による肺水腫で呼吸困難となります。
各種検査により病態を十分に把握し、血管拡張薬、利尿剤、強心剤投与による内科療法を実施しQOLの改善に努めます。

不整脈

心臓は一定のリズムで拍動していますが、何らかの原因でこのリズムが乱れることを不整脈といいます。
心筋内に電気が伝わることで心臓が拍動しますがその伝わる経路に異常があると不整脈が発現します。数十種類に分類されており、投薬による内科治療が中心となりますが、時には手術によるペースメーカーの埋め込みが必要な場合もあります。

心筋症

心臓の筋肉が障害を受けその機能不全となった病気の総称で犬と猫にみられます。
拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症に分けられます。
レントゲン検査や超音波検査で診断し、内科治療がメインとなり、少しでも動物達のQOLをあげる努力をします。

血栓塞栓症

血液の塊(血栓)が動脈に詰まることにより起こります。
猫では主に肥大型心筋症により心房内で作られた血栓が血流に乗って流され腹部大動脈以下の血管でつまり、後駆麻痺となります。
犬では肺でみられます。治療は血栓溶解剤投与等の内科療法が中心となってきています。

心タンポナーデ

様々な原因により心臓と心膜の間に多量の液体がたまり、心臓を圧迫します。そして心臓の機能が低下し心拍出量が減少、血圧が低下し危険な状況になることがあります。
レントゲンや心エコーにて心タンポナーデと診断された場合、早急に心膜穿刺を実施し心機能を改善させます。原因治療がメインとなりますが、場合によっては手術を実施し、心膜の切除を行うこともあります。


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